今日は鮭の孵化(ふか)場に行って来ました。

山田町の孵化場の一つは織笠川の奥側にあります。
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(2月の織笠川)

鮭はよく知られています通り、秋~冬、川に遡上した親鮭の産卵した卵から孵り、春になると海に出て2~6年大海を泳ぎまわり、成長した後自分の生まれた川に帰って産卵し一生を終える、というサイクルで生きています。
孵化場はたくさんの鮭に帰って来てもらうためにも、捕まえた鮭の卵を人工的に孵化させて、稚魚を保護しながら育て、春に放流して次の秋に備えます。
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(去年の鮭大漁祈願まつりです)


今日は孵化場の橋場場長さんにお話を聞きに行ってきました。
橋場場長さんは織笠の孵化場に20年以上勤め、今日が最後のお勤めの日になるのだそうです。
そんな大切な日だというのに、道に迷ってしまい、約束の時間に遅刻してしまいました。…すみませんm(__)m
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長く勤められた織笠の孵化場ですが、やはり大変だったのは震災の時だそうです。
岩手県でも多くの孵化場が被災する中で、この織笠の孵化場は運良く被災をまぬがれたのですが(サッパ船がこの辺りまで流されてたそうです)、そして停電の中、非常電源もきちんと作動したのだそうですが、翌朝には燃料が尽きてしまいました。
電気が切れポンプが止まると、送り続けていた水が止まり、つまりやがて稚魚たちは窒息してしまいます。
震災翌日の3月12日、「黒い水」が引いたこともあり急きょ残った稚魚たちを一斉に放流することになりました。

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稚魚たちのいなくなった後は残された水を避難所等に持って行ったそうです。
(あの震災では、水の大切さは何物にも代えられないなと思いました。)

震災を生き延び、翌日海に放たれた稚魚たちがその後どうなったかというと…

無事に海で生きているようです!
2012年のベーリング海でのさけ・ますモニタリングの採集約4000匹のうち、日本の鮭が約100匹、の内の1匹が、12日に放流された織笠川からの鮭だったのだそうですぴかぴか(新しい)
(どうやって分かるかというと、魚の耳石という所で分かります)
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鮭が卵から孵って生まれ故郷の川に帰ってくる確率は自然の元だとおおよそ1000匹に1匹、孵化場で大切に育て放流しても1000匹に約6匹と、自然を生き残るのは厳しいです。が、あの日放流された鮭がまた帰ってくる日がきっと来るんだな、と思いました。


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また今年の冬には稚魚でいっぱいになるのですね。
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上空にはテグスがはりめぐらされていました。稚魚を狙ってくる鳥よけのためだそうです。

被災したもう一つの山田の孵化場は今度、織笠川のもっと上流に再建するのだそうです。

橋場場長さん、お忙しい中、ありがとうございました。
(和)